恋人・夫婦といえど、しょせん他人同士。
お互いになんとなく感覚が近いところはあれど、相手に気持ちを理解してもらおうなんざ、夢のまた夢、幻想であり妄想であるのだと。
「あれはいつもあぁしておいてほしいなぁ」
「いつもあれをあぁいうふうにしておくなんてさ」
どんなご家庭においても、パートナーに思うことは日々尽きないはず。
期待通り・思い通りに行くことなどなく、言葉で伝えても「のれんに腕押し」のように、なんとなくつるっと手ごたえのないこともあり。
他人といっしょに過ごす生活の中で、そんなことは日常茶飯事です。
別にネガティブに浸るわけではなく、むしろすがすがしいほどはっきりとした人類の真理ともいえます。
だからこそ。
私はむしろその感覚を楽しみたいなと思うのです。
独身時代、自分単品では知りえなかったこの気持ち。
家族という、セットになった状態だからこそ体感できる感情。
いろいろ教えてくれてありがとう。。
静かに、合掌。。。
とはいえ、我が家では、妻ははっきり気持ちを言ってくれる人ということと、私が読んでいる本の内容をシェアしたりするので、言うほど気持ちの隔たりがないと(私は)思っています。
「お互いに期待しない」ということも、(お互いに)わかっている、はず。
だから、なんとなく気になったところも、意識的にお互いにネチネチ言わないようにしているのかもしれません。
パートナーとの関係は、いつでも絶妙なバランスでなりたっているもの。
そしてこの小説の主人公二人と、自分たちの関係を比べてしまいました。
『犬も食わない』尾崎世界観・千早茜
ロックバンド・クリープハイプの尾崎世界観さんと、作家千草茜さんの共作。文庫本で読みました。
ひょんなことから同棲することになった男女の、実に食えない日々。
尾崎さんと千草さんが交互に男女それぞれの視点で同じ場面を描くのが面白い。
特に、ひねくれもの(笑)の尾崎さんのパート、どろどろと生々しく、むっとむせかえるような表現だらけで、クリープに通じる沼があります。
この二人、どちらも素直じゃないし、気が強いのでなかなか交わらない。
恋愛小説って、そんな構図が一番面白いんですよね。
大きな事件が起こるわけでもなく、ただ淡々とお互いを思う日々が続き、着地点という着地点は…どうなんでしょうか。
本書の読後、何かを得たわけでないのですが、そう思っていたら、むしろ尾崎さんは巻末の対談でこう言います。
尾崎「(本書を)何の意味もない内容だ」というような感想もありましたけど、それを書いているのに、と思っています。
千草「意味のないことを書いている」
尾崎「そうです。読書でどれだけ得をしたいんだろうって思います。すごく強欲ですよね」
千草「強欲(笑)」
『犬も食わない』尾崎世界観・千早茜 より
私も強欲でした(笑)
たしかに。私もこの小説で、男女の恋愛関係について、どんな学びを得たいと思っていたんだろう。
何も構えず、他のカップルの生活をちらっとのぞき見しただけ、と思えば、そんなものです。
悪趣味?と言われればそうですね。
というか、私自身、特にパートナーに対して不満に思っていることがないので、気楽に読めたのかもしれません。
もし、もっと思い当たることがあれば、、、また感想は違ったかもしれませんね。
ありがたや~。と合掌して終わりにします。
おしまい≡⊂( ^-^)⊃♫
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