あー、心がほんわかする、あたたかい。
たまにはこんな小説もいいもんだ。
「君が夏を走らせる」って、よもや汗水鼻水たらしながら陸上に打ち込む中高生のお話、かと思いきや。
タイトルだけで手に取ったこのかわいい文庫本、癒されちゃったじゃないですか。
イエロー×ブルー、夏らしい文庫の装丁イメージも良いなぁ。
瀬尾まいこさんの「君が夏を走らせる」
16歳のつっぱり少年・太田くんが、夏休みにひょんなことから先輩の1歳10カ月の赤ちゃん・鈴香の子守りをすることになるお話。
なんといっても、その鈴香がいちいち可愛い!
愛くるしい鈴香の言動に、我が子の同時期の姿を思い出して胸がぎゅうとなりました。
「ぶんぶーぶんぶー」
あの時、鈴香みたいに一生懸命話したいこと、伝えたいこと、あったんだろうなぁと。
息子くん。パパさん、あの時はぜんぜん汲み取れなくて、ごめんね(笑)
そんな私より、くだんの太田くん、子守りの適性があるのかもしれません。
ヤンキーさん特有の「実はいいやつ」っぷりを、子育ての場面でいかんなく発揮。
ドタバタ奮闘劇の末、はじめはギャン泣きしていた鈴香との距離も、じょじょに変化します。
不良少年太田くんのひと夏の経験。
鈴香の成長を通した彼のこころの動きに、心あたたまる一冊でした。
がんばれ、太田くん!君の未来は広がってゆく、はず。
あ、この作品が同じ瀬尾さんの中学駅伝がモチーフの「もう少し、あと少し」のスピンオフとは知らずに読んでいました。
なんだ、君はあの太田くんか!(笑)
最後に、紛らわしいのはタイトル。
「夏が君を走らせる」ではなく、「君が夏を走らせる」なもんだから。
人生どん詰まり、迷いの中突如現れた「君」鈴香が、太田くんの夏を加速させていく、のかな。
なんて、想像しちゃいますね。
カラカラの夏にすっきりさっぱり、みずみずしいお話を補給させてもらいました。
おしまい≡⊂( ^-^)⊃♫
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