不安な時ほど、心がざわつく
父が突然倒れ、救急搬送されました。今も集中治療室で意識が朦朧としているようです。
急な出来事に、家族みんなが動揺しています。言葉少なに過ごす時間が増え、なんとも言えない不安な空気が家の中を包みます。
こうした時、人の心は自然と最悪の想像や妄想を膨らませてしまいがちです。でも、現実として私たち家族にできることは多くありません。あとは、信頼する医療従事者の方々に託すしかない。
そう頭では分かっていても、気持ちが追いつかず、私もそわそわ、うろうろ、ぼうっとしたり、頭の中では「もしあの時こうしていれば」とぐるぐる考えてしまうばかり。
深呼吸して、ゆっくり走り出す
そんな時、私はふと深呼吸をして思いました。「とりあえず走ろう」。
ランニングは趣味のひとつだけれど、今の自分にとってはそれ以上の意味を持っている気がします。身体を動かすことで、感情を落ち着ける手段になるはず。
決して現実から逃げるのではなく、整えるための一歩。家族に事情を話し、病院からの第一連絡先である私のスマホには常に出られるようにし、すぐに戻れる距離を、無理のないペースで走る。
そうやって自分なりのルールを決めて、走ります。
金沢マラソン一本に絞ると決めた
今年、私が出るマラソン大会は10月26日の「金沢マラソン」だけにすることに決めました。
毎年何本かエントリーしましたが、今年は家族のことも考え、自分の時間を絞る決断です。
幸運にも、また地元金沢で走れることになりました。今年は心から「走れること」に感謝しながら、大切に、丁寧に完走を目指したいと思います。
そういえば、先日出場した飛騨高山ウルトラマラソンの映像を、母が父に見せたそうです。まだ意識がはっきりしていた頃、その映像を見て父はなぜか泣いたと言います。
その話を聞いて、私もなぜか泣けてきました。おたがい歳を重ねて、涙もろくなったね――そんな言葉が、いまはとても胸に沁みます。