Twitterでフォロワー数8万人を超える人気文学系インフルエンサー「マグ」さんの初の著書。
本書にはマグさんの目から鱗の読書術がふんだんに盛り込まれているのですが、私が特に気になったのが「1%」というワードです。
これが見事に肚落ちしたので、生活のいたるところで応用しています。
読書の恩恵
『1%読書術 1日15分の知識貯金術』マグ
一般的に読書をすることで様々な知見が身に着く、アタマが良くなるなどと言われていますが、これまで4000冊もの大量の本を読んできたマグさんは、読書の恩恵を大きく6つに分類して掘り下げています。
- 知識の会得で挑戦のハードルが下がる
- 想像力と共感力が向上する
- ストレスに強い自分になれる
- 豊富な語彙力の獲得
- 文字を読む速度が上がる
- 固執した考えを破壊する
読書をすることで、知識が得られるなら、これまで実際にやったことがなかったことでも心の余裕を持って取り組めることは想像できます。
また、感情表現豊かな小説や詩集を読むことで、人に対する思いやりだとかコミュニケーションの予測をする力も身に付くのだと思います。
語彙力や文字を読むスピードが上がるのも体感としてわかります。
私が特に注目したいのは、読書をすることでストレスが減る、と言う考え方です。
「自分がコントロールできない」状態を、「解決方法がわかる状態」に変えたらどうでしょうか。「解決できる」という状態は、「自分次第でコントロールできる」状態と言えます。
『1%読書術 1日15分の知識貯金術』マグ 第1章より
「自分次第でコントロールできる」状態を作るための具体策が、読書だといいます。
ある日、マグさんはとある本の中で、ふだん感じていたイライラの原因に気づきます。
「めんどうくさい」と「難しい」は、分解すれば自分が「知らない」と言うだけ。
『1%読書術 1日15分の知識貯金術』マグ 第1章より
つまり、何か問題が起きたとしても、その対応の仕方を知っておけば、自分でコントロールできなかったことができるようになる。
本を読み知識を積み重ねていけば、いざという時に自分で問題解決ができ、「めんどうくさい」「難しい」が減っていくのです。
たとえば、社会保障のこと、税金のこと、投資のこと。
なんだか小難しいしめんどくさいし、と思っている間は自分でコントロールしようとも考えませんが、各分野の知識を身に着けていくうちに、しだいに自分の手で(ある程度)コントロールできるようになっていきます。
「読書って、文字を読むのがめんどくさい」と、読書をストレスに思う方が多いと思いますが、「ストレスを軽減するための読書」という視点もあるのです。
確かに、いつもイライラしたり何かを他人のせいにしている人を想像すると、この人はふだん本を読んでいないのだろうなと感じます。
本を読んでいれば、自分がイライラしていることが周りの人にどのような影響があるかも想像できるでしょうし、イライラの原因を解消する方法を本で探す行動に出るものです。
また、マグさんは読書に脳をリラックスさせる効果もあると、「マインドフルネス」に言及しています。
「マインドフルネス」とは、散らかった心をととのえ、「今、この瞬間を感じる状態」のことを指します。瞑想により脳を活性化させ、ストレスを減らす方法で、最近では医学やビジネス界隈でも注目されています。
読書は究極のシングルタスク。つまり、マインドフルネスの状態を作ることができると言えます。
『1%読書術 1日15分の知識貯金術』マグ 第1章より
本書では、このマインドフルネスの状態を作るための具体的な方法も紹介されているので参考になります。
「1%」の意味
本書のタイトルにある「1%」は、「1日の1%」を考えることから始まります。
・1日=24時間(1時間は60分)=1440分。
・1440分×0.01(1%)=14.4分(14分24秒)
これを約15分と定義。
『1%読書術 1日15分の知識貯金術』マグ 第3章より
つまり、1日の1%は15分ということになります。
よく「1日15分だけがんばろう」とか「15分だけ積み上げよう」とか言われますが、いまいちピンときませんでした。
ところが、言い方を変えて「1日の時間の1%だけ頑張ろう」「1日の1%の時間だけ積み上げる努力をしよう」となると、不思議と「それならできそう」と思えます。
さらに「1%」という数字の複利にも注目しましょう。
単純計算で、毎日プラス1%(1.01)の努力を1年続けると、加速度的に成長は促進され、「1.01×1.01×1.01…(365回)=約37倍」になります。
『1%読書術 1日15分の知識貯金術』マグ 第3章より
毎日たった1%、15分の積み上げで1年後に37倍の成長につながる、そんな思考で生きていければ心豊かに過ごせそうです。
1%の応用
時間管理の有名な方法として、「ポモドーロテクニック」というものがあります。
これは、25分作業に集中して、5分休憩する、という30分1セットの手法です。
私もこれまで、勉強に取り組む際にこのテクニックを試していたことがあるのですが、実感としてはマグさんと同じで、「長い」。
1セット目は良いのですが、それ以降はだんだん疲れて集中力が途切れてきます。
ところが、この「1%=15分」を1セットとして、読書をはじめ勉強やランニングに取り組むようになったところ、これが実にしっくりくるようになりました。
ランニングは毎日片道2km弱の通勤ランです。15分程度走ることで、出勤時はちょうど身体がほぐれて、退勤時は仕事のことを忘れリフレッシュになります。
また、読書や机に向かう勉強も15分と思えば飽きずにできるようになりました。
読みたい本を読んでいて、先が読みたくてもいったん15分でやめます。
そして他の本に切り替えてまた15分読む。
そうすることによって新鮮な気持ちを維持しつつ、様々な本の世界をワープして横断的に楽しめるのでまったく飽きません。
そうこうしているうちに本を読むスピードも上がってきたり、これまでまったく未知だった分野に興味が出てきたりと、読書の恩恵を感じています。
さらに、仕事においてもやるべきタスクを15分で処理しようという意識が働き、生産性が上がってきたとも思います。(まだまだこれから!)
この「1%」の力が今後どのようなかたちで自分の血となり肉となるか、楽しみです。
たった1%、たった15分、読書からつながるその威力。
未体験の方はぜひお試しあれ。