【レースの記録】金沢マラソン2020オンライン あの最終日のこと

思い出すだけで特別な気持ちになるあの日のこと。

「パパさん、こんな変なことやってたんだ!笑」って、いつか息子くんの目に触れることがあればいいなと思い、以前Facebookのチーム内で投稿した内容を転記します。

この「金沢マラソン2020オンライン」、きみの話のネタになればそれで本望です。

息子くん、やっぱりパパさん、変でしょ?

ちょっと見てよこのPR動画。ほくりくアイドル部の松井さんがゆるく走っていて、めちゃ楽しそうでしょ?

このゆるゆるのオンラインマラソンイベントで、パパさんの身にこんなことが起こるなんて。。。

(以下、2020年11月12日Facebookチーム金港堂 連絡事項 投稿記事を加筆修正)

改めまして、このたびは金沢マラソン2020 ON-LINE、ご参加のみなさんお疲れ様でした。

さて、おかげさまで結果的になんとか同大会TATTAの練習ランキングで首位を獲得することができたのですが、最終日の一部始終を以下備忘録として記録します。ご興味のある方は長文ですがご一読ください。

まず、8日のチームの朝練以降右足に不調を感じ、これ以上は続けられないなと思っていたのですが、久しぶりにゆっくり寝たところ、9日の夕方あたりから何となく走れそうな気がしてきました。

睡眠を削って毎日走り続けたので、その反動で超回復したようです。絶対におすすめしません。

10月10日のスタートから1カ月におよんだ金沢マラソン2020オンライン。

最終日の11月10日は午前2:00に起床。

この時点で私は総走行距離が1100kmで練習ランキング2位、そして数日前に私をぶちぬいて1位になった「Y」さんは1213kmという状況でした。

表面的には私たちの間は113kmの差でしたが、私は前日少し走ったアクティビティをアップするのを忘れていて(わざとじゃない)、16.83kmを手元に持っていました。

つまり、最終日には実質96.17km負けていました。

この差をなんとかして埋めたい!勝ちたい!

果たして最終日にそんなことができるのか。。

勝算はなくはない。やってみないとわからない。。

大会の趣旨としては、1カ月でトータル42.195km走りましょうね♪というものだったのを我々は完全に無視して、練習ランキングでどちらがトップになれるかを争っていたのです。

この時、3位以下のランナーさんたちの走行距離が数百キロ代だったことを考えると、この時の私たちが異常だったことがわかります。

最終日数日前からお互いにおかしな駆け引きをし、勝手に火花を散らしていた、というわけです。

絶対に勝つ。。。という気持ちだけでこの一日を過ごしました。

この日走り出す前に、実は寄り道をしたところがあります。

ちょうど妻が「鬼滅の刃」にはまりだした頃でした。ローソンで限定のコップがこの日の早朝に陳列されるということだったので、それなら買ってこようと思ったのです。

2:30にローソンに入ると店員さんがコップを陳列するタイミングで、すかさず私が「それください」と声をかけたので、鬼滅のガチファンに思われたかもしれません。(大好きですが)

まずは妻との約束が果たせました。

さて、この日深夜は小雨だったため、車で卯辰トンネルの入り口に向かいます。

2:56。初めは音楽を聴きながらスタート。

BGMは妖怪ヘヴィメタルバンド「陰陽座」の2005年リリース6枚目のアルバム「臥龍點睛(がりょうてんせい)」。

1曲目の「靂(かみのふるめき)」から昂ります。

多少足に痛みは残っていましたが、8kmくらい走ると「痛みが固まる」感覚がありました。これは、私の中ではよくあることです。

補給は、保冷バックにバナナ、サンドイッチ、ゆで卵、スポーツドリンクを詰めて置いておき、適宜摂りました。これ以降、コンビニやドラッグストアに寄って買い足しました。

Bluetoothイヤホンのバッテリーが約2時間ほどしか持たないため、20kmを過ぎて音楽は終了。静かなトンネル内を走ります。

6:15頃、高校生の集団がトンネルに集結しました。遊学館高校の生徒たちです。

私は20年前、遊学館高校の駅伝部の創設時のメンバーでした。当時は半ばお遊びでやっていた私たちの陸上同好会を、広島から有名なコーチを招いて駅伝部として立て直しを図る時でした。

しかし、私は引退まで自慢できるような結果も残せず、ただなんとなく流れに身を任せて走っていました。

それから数年後、遊学館の駅伝部は県内でトップレベルのチームに成長し、その活躍にすごいなぁといつも感心していました。

まさか、こんな日に彼らの練習を目の当たりにするとは。

全員が真剣な眼差しで早朝から黙々と練習をしています。卒業して20年後の先輩がこんなところでちょろい走りでへこたれてるって、めちゃくちゃかっこ悪くないですか。

その瞬間、再燃しました。今度こそ何かやり遂げよう。

ちなみに余談ですが、高校生当時にずっと片想いだった女子は「タツタ(タッタ)」さんでした。(※この時使っていたランニングアプリがTATTA(タッタ)だった)

さて、トンネルランで最大の問題はトイレです。もともと50km刻む予定でしたが、7:37に39kmで切り上げて、いったん自宅へ戻りました。

ちなみに、Yさんはこの日、2回のアクティビティでした。1回目は3:08から6:09までで25.05kmを走っています。最終日でも気を抜いていないようです。

最終日も、相手に不足なし。

自宅で身だしなみを整えて、今度はぐるぐる広場へ。雨もあがり、晴れ間が広がります。8:25スタート。

しばらく淡々と広場をぐるぐる回ります。

それにしても、トイレが手元にあるって素晴らしい!快適すぎます。

11km走り9:37。

いったん止めて、バッテリーを取りに自宅へ。往復1.65km。

たまたまこの時の自宅がぐるぐるの近くでよかったです。また、ここからバッテリーとの睨み合いも始まります。

10:00再びぐるぐるスタート。

この時点で私が思っていたのは、ここから12時間かけて100kmを踏めば、一日トータル150km走破で、なんとかYさんに勝てるはずということでした。

今思えば、なんたる無茶な考え。とうてい正気の沙汰ではありません。

これまで超高低差のある100kmのウルトラマラソンをなんとかサブテンしてきたので、こんなフラットなコースなら、独りでもなんとかいけるのではないかと踏んだのです。

とにかくひたすら淡々と走ります。

日中は日差しが熱く、顔が焼けます。

何周走ったかは考えず、ひたすらGARMINと睨めっこです。

身体の不調はありませんでした。

給食は、基本的に手に持って走りながら食べます。

周りから見ると、公園内をおにぎりやらサンドイッチやらどらやきやらカステラやら食べながら走る変なおじさんです。

そうやっても、胃がもたれたり下痢したりすることはなかったので、もしかすると割と内臓は弱くないのだと知りました。

ずっと履いてきたシューズの「On」も、こんな状態になってしまいました。

そこまで割と快適に走るも、だんだん雲行きが怪しくなり、ついに土砂降りになりました。

チームのウインドブレーカーの上にワークマンのカッパを着てなんとかしばらくしのぎましたが、寒くて身体が冷えます。

なんとか16:15で50km終了。だいぶペースも落ちてきて、ぐるぐるを何周したのかもわかりません。

いったん立て直すため選んだのは崎浦涌波トンネルでした。もう日が暮れかけていて暗くなりました。

この日、ライトを持参することを忘れたので、トンネルまで向かう道が真っ暗。熊に気をつけます。

16:31。トンネルに着きましたが風が冷たすぎて凍えます。

ここでも入り口に保冷バックを置いておきました。

全長670mの往復。あと50km走ればなんとかなると信じていました。

走りながらも、ちょくちょくTATTAでYさんの情報をチェック。

直近5日間の傾向としては、必ず1日3回走っていて、この日ももし3回走られたらその時点で勝てる可能性が急激に低くなると思いました。

この頃にはかなりメンタルが落ち込んでいて、トンネルを叫んで走っていました。行き交う車の音にかき消されるので、おかまいなしです。

なぜかどんどん負の感情が溢れてきて、関係ないのに仕事上の合わない人のことばかり思い浮かんできて、良くない状態でした。

こうなった時、日頃取り組んでいるマインドフルネスの感覚に戻すように心がけました。

落ち着くよう意識をしていないと、感情が爆発し、「ワイワイワイワイワイワイワワイワイィィィィィィィイッッッッツッツッッツ!!!!!!!!どこ走ってンダァァァァアッッッッツ!!!!!!」と叫んでしまっていました。

トンネル内を通行する方には、本当にあぶないおじさんです。すみませんでした。

それくらい終盤のメンタルはかなりきていました。

20:23。25.01kmを踏みました。この時点で給食がカラになりました。

Yさんがこの日2回目のアクティビティを公開し、16:57から19:27で19.79kmを走っていました。

平均6:57km。本当、どこ走っているんだろう彼は。ふとYさんのことを考えます。

こんな雨降りの寒い中。。

この時点でYさんは1257.90km。自分の数字と見比べて、何キロ足りないか計算します。

あと14.25km。残り時間を考えればもう射程圏内。

ですが、彼はさらに積み増す可能性もあり、全く油断できません。

とにかくお腹が空いたので、いったんぐるぐる方面へ戻ります。

何か刺激がほしいと、ファミリーマートに寄って麻婆豆腐(笑)を選びました。

その他、サンドイッチ、おにぎりなどを買って、真っ暗な公園ですきっ腹にかきこみます。

そしてトイレを済ませ、仕切り直します。

この時、暗い公園を走っている他のランナーさんがいて、私の他にもおそらく最後の追い込みをしているんだろうなと思いました。

20:23再び周回スタート。

もう寒さは変わらず、ずっとカッパは脱ぎませんでした。

平均ペースも7:16に落ち、淡々と足を前に出す作業を繰り返すことに全集中します。

一周回ってはお茶を飲み、何か口に入れます。

TATTAを見てはYさんの動向をチェック。

積み増していない。

まさかこれで終わり?完全に疑心暗鬼。

バッテリーもなんとかギリギリ持ちました。

22:06。10km走ったところでいったん止まりました。

ここで計算してみると、Yさんとの差は4.25km。

あともうちょい。。。もうこの時間から彼も走らないよな、これで終わりだよな、と信じたい。

もう身体も冷え切って足も上がるはずもなく、せめてあと5km走ろうと思いました。

22:17再開。

ぐるぐるをしばらく回って、自宅の付近までもどり、あとは自宅側の公園の周りを走りました。

平均ペース6:31。22:56、5km走り終えました。

合計1258.82。Yさんとの差、+0.92km。ほんのわずかに超えました。

もう23時ですよ。

さすがに彼もここから走らないだろう、いや、走って欲しくない、すみません、走らないでください、頭がぐるぐるまわります。

とりあえず気力が限界を迎えたので、自宅に戻りシャワーを浴びます。

この1カ月のいろんなものが洗い流されて、生き返りました。

そのままソファに寝転がり、アクティビティの公開をしようと構えます。

ギリギリまで公開しないでおくべきかどうか、スマホを握りしめて迷いました。

この+0.92km。なんなら簡単に詰められる。

ドキドキしましたが、思い切って24時数分前にアップして、前日の残りも合わせて合計158.67kmの記録を放出しました。

会心の一撃のつもりです。

しかし。

ここで不覚にもウトウト油断してしまい、目が覚めたのが24:04。

やばい。

アクティビティに旗を立てなければ。

やばいやばいやばやばい。

今日やってきたことが水の泡になる。

冷や汗でシャツがびっしょりになりました。

しかし、なぜか?ちゃんと加算されたようで、最終1258.82kmで、練習ランキング1位、の表示がされました。

一瞬で気が抜け安心して、そのまま寝落ちしました。

以上が、わたしの2020年11月10日の一部始終です。

終わってみて感じたのは、結果的にランキング1位を奪取できましたが、本当に無茶したらいけないということです。

オンラインの数字にとらわれて、自分のペースを乱して周りが見えなくなってしまい、危険な状態になります。

情けないことに、期間中しばらくランニングの楽しさを忘れていました。

それに、無茶して身体を壊しかけましたし、家族にも心配をかけました。

子どもとの時間もほとんど取れず、悪いことをしたなと思います。

何事も打ち込みすぎ注意ですね。

今の時点で幸い、足の調子も一周回って(?)治ってきたので、秋の終わりにユルジョグを楽しみたいと思います。

しかし、このYさん、結局どこの誰だっのでしょうか。

彼のアクティビティの内容からすると、めちゃくちゃメンタルが強くてタフな人だと想像できます。

もし今後、どなたかわかればご一報ください。

ここまで駄文長文、失礼しました。

改めまして、みなさんこのたびはご声援ありがとうございました。

今後もランナーとして精進してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

(余談)

息子くんの毎日使っている鬼滅の刃のコップ、これを買った日にこんなことがあったんだよ。

おしまい

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