「丹後100kmウルトラマラソン」、あえなく50kmでリタイアしてしました。
今回は30kmを過ぎたところからリタイアまでの一部始終です。
ちょっと長いですよ。
見えていないモノ
延々と続く坂道を上ったり下ったりし、こんな足場の悪い道もありました。
第8エイド 34.5km地点 浜詰駐車場に到着。
よろよろとふらつきながらお邪魔します。
実はこの時、コーラが飲みたくて飲みたくて仕方なかったのですが、ここにあるコーラがまったく目に入っていませんでした。
この後、結局コーラを飲むことができず、ずっと走りながら頭の中でひっかかっていました。
仕方がないのでマイボトルの水を飲み干し、再度水を補充しました。
ここでも何も食べていません。
「暑くなりそうですね、みなさんもお気をつけて」って余裕ぶったこと言ってますが、この時の自分に、まずは自分の身を心配しなさいと言ってあげたいです。
そしてまたすぐに再スタートしました。
自分との約束を果たせず
再び下り坂。
まだ40kmにも達していないのに消耗している状況から、「さぁ、どうしよう?」などと言っています。
さらに上り坂。
この時点で1km7分かかっていて、「正直、パニックに陥ってるので、深呼吸して集中。。」と独白しています。
そして、とうとう歩くスピードになりました。
今回は坂で絶対に歩かないという自分との約束があったのですが、これもあっけなく破ってしまい、とぼとぼと上り坂を歩いてしまいました。
ぷつぷつと体中の緊張の糸が、いっせいに切れてきました。
身体の荷物をおろす
ゆっくり歩いたり走ったりして、なんとか第9エイド 38.6km地点 七竜峠展望台に到着。
ここで初めてトイレにピットインしました。
前回「飛騨高山ウルトラマラソン」ではスタートから10kmごとに3・4回トイレに行っていました。それでもサブテン(10時間切り)できたので、今回えらい身体が重かったのは、コレのせいだったかもしれません。
トイレを出てほっとすっきり。
そしてまた水の補充をします。見上げると、本当に気持ちのよい秋晴れが広がっていました。
ひたすら水をがぶがぶ飲んでいました。
当日は30℃を超える暑さでしたが、それにしても飲みすぎでしょうか?
ここは一発、クエン酸チャージを補給しました。
エイドを出るとほどなく40km地点でした。
通過は3時間11分46秒。
ここまでの10kmは56分53秒。
もっと前半を抑えてこのペースで行っても、サブテンできましたね。。
「30kmから40kmの間がすごく長く感じた」と自分で言っています。
長い山道を抜けて
40kmを過ぎ、長い山道を抜けると、再び海が開けてきました。
山から海へ、景色が変わると若干気持ちが切り替わったような感覚がありました。
この頃から気を抜くと足がつりそうになりました。身体の中に必要な、何かが足りない?
絶景を前に、足がつらないよう、おそるおそる走ります。
広がる丹後の海。景色は最高、もっとゆっくり味わいたかった。。
頭の中からっぽの状態で、42.195kmまでたどり着きました。
こんなに苦しいフルマラソン、これまでの人生で初めてだったかもしれません。
撮影もおぼつかず
第10エイド 44km地点 浅茂川漁港の撮影時、アクションカメラのGoProの電源を押し間違えていました。
エイドに滞在している時に切って、出てからつけていました。
ぼーっとしていて、そんなことにも気づいていませんでした。
このエイドでもなぜかコーラが無性に飲みたくなったのですが、空振り。
今回は何もかもうまくいきません。
えいやーっと、頭からかぶり氷水をかけたので、カメラが濡れています。
ここからずっと、撮影しっぱなしでした。本人はまったく気づいていません。
画面の揺れもはげしく、いかに身体がぐらぐら傾いていたかがわかります。
そしてどんどん後ろからランナーさんに抜かされていきます。
それにしても、この暑い中、信念を持って走り続けるみなさん、本当にすごい!!もれなく拍手を送りたいです。あなた方はすごい!!
もうここからの撮影はめちゃくちゃです。
画面も傾いて、完全に集中が切れました。
リタイアの選択
第11エイド 47.9km地点 三本松交差点を過ぎ、同じく足がつりそうなランナーさんと、信号待ちでいっしょになりました。
その方にお声かけすると、全大会、同じくらいの場所でリタイアしたのだと言います。
それを聞いて、妙に力が抜けるのを感じました。(※このランナーさんのせいではありません)
「どうせこの消耗した身体でこの先無理して走っても、自分を含めて誰も喜ばない」
このとき私は、この先のエイドで区切りをつけることに決めました。
前回50kmあたりでリタイアしたという、若くてかっこいいランナーさん。後で調べたところ無事に完走されたようですね!しかも速いタイムで。おめでとうございます。。。!
51.3km地点 丹後王国前で離脱
ここからは51.3km地点のエイド丹後王国前まで歩いて向かいました。
エイドに着いたらすぐにボランティアのスタッフさんにお声掛けし、リタイアを申し出ました。
言葉にするのも迷いましたが、思ったよりあっさり自分でも言えた、と思いました。
水を飲んでいると走ってきたランナーさんから声をかけられました。
見ると、前回「飛騨高山ウルトラ」の最難関「千光寺」の激坂をいっしょに登った方でした。
私はリタイアすることを告げると、また会いましょう!と元気に走り去っていきました。
こうやって全国のランナーさんとの出会いがあるから、ウルトラは楽しいなぁ。
そして同じ場所でリタイアをした方といっしょに収容車にゆられ、スタート・ゴール地点のアミティ丹後まで戻ります。
車中から沿道を走るランナーさんを見ると、自分も走るはずだった道を走っている。。なんだか不思議な気持ちになりました。
アミティ丹後に着くと、すでにたくさんのリタイアした方が更衣室で着替えていました。私もさっと着替え、帰路につきます。
また必ずここに戻ってきます。
自分のスタイルに気づく
こうしてあっけない幕切れで私のはじめての「丹後100kmウルトラマラソン」は終わりました。
大会の結果を見ると、私の出た男子100kmの部は出走数1,293名に対し、完走したのが536名、完走率43.3%、ということでした。
その事実は置いておいて、自らを振り返ってみます。
やはり、一番に反省すべきは「ウルトラマラソン、なんとか今までのように走り切れるだろう」という驕りと慢心。もうこれに尽きます。
スタート地点に立つまでは、気力も体力もじゅうぶん、自分で言うのもなんですが、100点だったと思います。(これも驕りか)
ただ、走り始めてからずっと続いた妙な自信がよくなかったのです。
いくらここまで数回の大会でサブテン(10時間切り)したとはいえ、マラソンはナマモノ、毎度毎度うまくいくわけがない。そんな簡単なものじゃないんです。
そして、自分の走る目的を完全に忘れてしまっていたことも大きいです。
「いったい自分が何のために走っているのか?」
走り出してちょっと身体の調子が良いからって、サブ9(9時間切り)を目指すトップランナーさんたちにわざわざついていく必要はありませんでした。
私の目標は最低サブテン、サブ9.5でした。これをすっかり見失っていました。
では、「なぜサブテンしたいのか?」
この問いに関しては、答えはひとつ。
「来年の『さくら道国際ネイチャーラン』のエントリーのための実績を積むため」
ほら、冷静に考えたら簡単に答えが出てくる。。
こんな大切なことすら忘れて、大会の雰囲気に興奮して適当な走りをしてしまっていたから、身の丈に合わないはペースで早々につぶれてしまったのです。
私のマラソン人生の中の大きな目標、さくら道完走。
それなのに、今回の失敗を例えるならば、贅沢なコース料理を目の前に、がつがつ早食いで食い散らかし、急にのどに詰まらせて倒れてしまった、というかんじです。
コロナ禍の中、3年ぶりに地元のボランティアのみなさんや大会運営のみなさんの努力のおかげでようやく開催された、誰もが心から走りたかった京丹後の100kmの道。
そんな、出走することに感謝すべきありがたいコースを、私はいい加減に走ってしまった。。それが本当に悔やまれます。
今年1本しかウルトラをサブテンしていないので、来年の「さくら道」の出走も絶望的となりました。
でも、これで気づいたんです。
私のウルトラマラソンを楽しむスタイルは、やはりスピードや記録の追及ではありません。
もちろん、記録の更新や上位を狙う方は漏れなく敬意を表したいですし、がんばる姿に刺激を受けます。
ただ私の場合は、長い旅路の雰囲気を味わったり、エイドでボランティアスタッフさんと交流したり、大会をいろんな切り口で楽しみたいんです。
なおかつ、サブテンを達成したいという。
一見相反することかもしれませんが、これを両立させるのが、私のウルトラマラソンのスタイルなのだと思います。
前回の「飛騨高山ウルトラマラソン」で感じた圧倒的充足感が、ずっと心に残っています。
またあんなふうに、全国のウルトラマラソンに挑戦したい。
そして、その様子を他のウルトラマラソンに興味のあるランナーさんたちに発信したい。
それができたら、私の人生大満足です。
現在40歳。
あとこの先何回ウルトラマラソンを走れるでしょうか。
何歳まで五体満足でいられるでしょうか。
何歳まで生きられるでしょうか。
そう考えたら、この先、適当に走って良いレースなんて、ひとつもないはずだと思いました。
。。ウルトラマラソン、本当に楽しいんです。
非日常的な旅の中で、ずっと自分と向き合って、生きているって感じられるし命の尊さを感じられるし。。ありきたりな表現ですみません。でも、挑戦している間は、かけがえのない時間なんです。
何度でも言いたい、ウルトラマラソンは人生をまるごと体感できるアクティビティ。
今回の経験によって自分のスタイルの軸が定まったので、今後は出るレースで愚をおかしません。
私は、レースを心ゆくまで楽しみつつ、ちゃっかりサブテンするランナー。
うん、その路線でいこう!
来年はしっかり実績を積んで、また「さくら道」を目指そう。
改めまして、京丹後のボランティアスタッフのみなさん、大会運営のみなさん、沿道でお声かけいただいたみさん、暑い日だったのに朝から本当にありがとうございました。
来年、必ずリベンジします。気持ちはもう前を向いていきます。
というわけで、ランナーのみなさん、今後ともよろしくお願いいたします。
おしまい