今でこそ自称「ミニマリスト」の私でも、新車がほしくてほしくてたまらない!という時期がありました。
そう、大人気のあのカクカクフォルムの車です。
毎日商品カタログを見ては、1年以上納車はまだかなまだかなと待ちわびました。
しかし、結局私は買わずに今に至りました。
そこまでの心境の変化を振り返ってみました。
新型ジムニーを待ちわびて
「新型ジムニー」という呼び方をしていますが、フルモデルチェンジが発表されたのが2018年なので、やがて4年ほどが経ちます。
そう、私が欲しくてたまらなかったのが、言わずとしれたスズキの「ジムニー」。
多くの方がそうであるように、私もそのフォルムに一目ぼれしてました。
もともと車にほとんど興味がなかったのですが、単純にそのカクカクとしつつもかわいい見た目が気に入ったのです。
2018年まで約10年間乗っていたのはこちら、ダイハツの2代目ミラジーノ。かなり無茶したこともありましたが、いろんな場面で助けてくれた相棒。お世話になりました。
このミラジーノから、そろそろ車を乗り換えようと考えていた時に突如現れたのが、新型ジムニーでした。
思い立った私はさっそく行動に移ります。
家族で新車の展示会に行って、その日のうちにスズキさんのブースで予約の申込をしました。
当時の私は、もうただただジムニーのオーナーになりたかったので、その先にかかる金額のことは何も考えていませんでした。
「まぁ、なんとかなるだろう」と楽観的でした。(ほんの数年前までそんな思考回路だったことに我ながら驚愕)
選んだのは、カタログ表紙のビビッドな「キネティックイエロー」。今では町中でよく見かけますね。
そして納車とはいうと、なんと1年半待ち。
多少は覚悟していましたが、担当の方から直接それを伝えられると、やはり人気車種なんだなぁと驚きました。
どうもリリースから数年経った今でも納車までかなり時間がかかるようですね。
とりあえず申し込んだので、果報は寝て待てということで大人しく待つことにしました。
関係ないのですが、会場で家族で適当に試乗していたトヨタのRAV4のそばでインタビューに応えていました。その様子がローカルテレビで放送されました。それを見た知り合いからは「RAV4買ったの?」と誤解されました。
ちがうんです。ジムニーを申し込んだんですよ。(どや)
生活と心の変化
新型ジムニーの納車が1年半待ち、ということで待ちましたが、やはりその間に生活と心の変化がありました。
まず、世界はコロナ禍に突入し、いわゆる「おうち時間」が見直される風潮がありました。
そして2019年、家族でアパート暮らしだった私も例にもれず考えました。
「家族でゆっくり過ごせる家がほしい」
妻と話し合い、マイホームを建てることになりました。
私たちとしては安価な建売住宅より、多少高価でも納得のいく住まいを手に入れたいという思いから、注文住宅を選びました。
そして改めて自分たちの家計を直視したときに大きな問題になったのが、車のローン。
新築の住宅ローンと、新車の住宅ローンと、本当に無理なく返済できるのか。
できないことはない。私はそう思っていました。
お金を無駄遣いする性格でもないので、自分ならなんとかなるだろうとあっけらかんと思っていました。
本当に適当な人間です。
そこで私の人生を変えてくれたのが、義父でした。
義父もマイホームや車の購入を経験してきたことから、今後のローンのことを心配してくださったのです。
新車のローンは、家族の負担として重くのしかかるだろうとアドバイスをくれました。
それまで「なんとなく」で生きてきた私にとっては、目が覚める思いでした。
そうだ。私にとって、果たして新車を買う意味とは?
欲しい理由を改めて考えてみました。
- 見た目が心ときめくから
- 悪路でもなんなく走れるから
- 大雪や災害時に家族を守ってくれるだろうから
思いついたのは、たったこれだけでした。
しかし、なによりも自分では否定しきれない「見栄」があったのは正直なところです。
ジムニーを所有することで、「お、ジムニー乗ってるんだ!」と誰かに言ってほしい。
空想するも、結局「で、誰に?」でした。
私は誰に見栄を張っているのか、その姿も見えない人のことをぼんやり頭に浮かべていました。
そんな人のために、数百万円、この先の維持コストも考えると数千万円をかけられるか。。?
もう答えは「否」でした。
この頃、しだいに考えがミニマリスト寄りになっていた時期だったので、自分の思考もどんどんミニマルになっているのを感じていました。
そして、新型ジムニーの納車を待つ間に、それまで乗っていたミラジーノの車検が切れ、仕方なく職場まで歩いて通勤するようになりました。
当時はてくてく30分ほど歩いて通っていましたが、ある時「走って会社で着替えればランニングの練習になる」と気づき、通勤ランを始めました。
すると、だんだん走って通うのにも慣れ、雨でも風の日でも難なく走れることに気づくと、もはや車がいらないと確信するに至りました。
我が家には妻の軽自動車があるので、私の1台がなくてもなんとでもなるのです。
そうか、ジムニー、いらないんだ。
義父からのアドバイスと、通勤ランでも支障がないことがきっかけとなり、私はジムニーの予約を電話でキャンセルしたのでした。
その時、すでに申込から1年以上が経っていましたが、営業担当の方は電話越し「あ、わっかりました~」で終わりました。
その車が欲しい人は、私の他にもごまんといる。
順番待ちを誰かにお譲りしたのだと思えば晴れやかな気持ちになりました。
車を手放した恩恵
このようにして、現在は望んでいたマイホームに家族で暮らしつつ、マイカーは1台の状態です。
結果的に、私としては新車を買わなくて心からよかったと思っています。
メリットは以下のとおり。(妻のマイカーにかかわるものは除く)
- 車のローンが0
- 車の税金が0
- 車の保険が0
- 車が傷つくおそれが0
- 車で加害者になるおそれが0
- ガソリン代が0
- 通勤ランすることで走力が爆上がり
住宅ローンの支払いが始まった今となると、それにプラスで車のローンは実際かなり負担に感じていたのではないかと思います。
毎日早く帰りたいと思わせてくれるマイホームのローンの支払いは納得してできているのですが、果たして車のローンはそうはいったのか、今では恐ろしくもあります。
コロナ禍の中でミニマリスト気質になったこともあわせて、家計の余裕もできました。
おかげさまで今では好きなことを好きなだけ楽しんでいます。
ランニング、読書、楽器、家族との時間。
本当に楽しいことって、それほどお金がかからないのだということも分かってきました。
少なくとも、今の私にとって、新車はいりません。
もし今後家族の事情で車を再度所有する場合が来ても、最低限、前に進む車であれば良いとも思っています。
それほど私にとって足かせだった執着や見栄がそぎ落とされた、ということです。
ときめくモノが人生を豊かにする
ただ、お断りしたいのは、「人のときめくものは千差万別」、ということ。
私にとって不要なものが、他人にとって心のよりどころになることも必ずあります。
逆もしかり。
大事なのは、人からどう思われるか、でなく自分がどうやったら満足できるか。どうしたいか。
そういった視点でモノを購入したり所有することが、人生の満足度を上げることにつながるのだと思います。
この記事で人の車の所有や新車の購入を否定するつもりはありませんので、あしからず。
余談ですが、新型ジムニーの納車を待っている間に手に入れたトミカを眺めていたら、なんだかもうこれでいいなと思いました。
結局、私はジムニーのフォルムが好きなので、運転せずとも見ているだけで満たされることに気づきました。
だから町中を走っているジムニーとすれ違うと、「わぉ♡」と瞬間テンションが上がります。
なんだかもう、それだけでじゅうぶんなのです。単純なやつです。
さらに余談。
昔、思春期(?)の妹がポンコツのジムニーに乗っていました。
この頃の彼女はこのジムニーにときめいていたのでしょう。
いや、これはこれでかっこいいな。。
おしまい。