※2022年1月6日の当ブログ「みんなここから羽ばたいた」から抜粋・加筆修正
ある日。仕事で隣町に行く用事がありました。
そこは私の出身の町で、そう遠くはないのですが、わざわざ行く機会も最近はありませんでした。
用事のついで、何を思ったのか、以前住んでいた家の前を通ってみました。
はい、ただの駐車場です。
ここにはかつて、築40年以上、いや、もっと？の超が何個つくのか、ものすごく古い平屋のあばら家があったのです。
貸家だったのですが、それが私の家、でした。
私は両親と他4人のきょうだい(弟×2、妹×2)、あわせて7人家族でした。
「でした」、っていっても誤解なく。誰か死んだわけではなく、子どもたちが成人して、それぞれ巣立っていった、ということです。
そのぼろ屋は、私が中学生で14歳の時に引っ越してきました。
当時私は不登校真っただ中。内弁慶でつっぱっていた頃。
きょうだいが多く、私の父は普通の会社員、母は専業主婦だったので、当然ながら我が家は貧乏でした。
事情があり、もともと住んでいた持ち家を離れることになりましたが、生活圏が変わらないよう、わりと近所の超ぼろい貸家に越してきたのです。
その貸家に住むことが決まった当時、思春期真っただ中だった私はもう、「あぁ、、、まじか、、、」絶望を感じていました。
私としては、思春期でぼろい家に住んでいるということがコンプレックスで、友達を自宅に招くことはおろか、みんなにその場所を知られないようにしていたのを覚えています。
家に入る時も、周りに見られないようにきょろきょろうかがうのが、辛かった。
建物といえば、その当時でもうすでに限界を迎えていました。
雨漏りはするわ、浴室の扉は木製で腐食して取れて、浴室の扉がなくなるわ、ネズミやGが出るわ。。。
そうそう、思い出した。玄関の鍵が壊れたので、内側からゴムのなわとびで固定していたっけ。
また、冬場は家全体に冷気が通り抜けて死ぬほど寒かったのが悲しかった。
特に奥まった部屋のことを家族間では「極寒の地」と呼んでいるほどでした。
そんな劣悪な環境の中、きょうだいが多いことと両親がモノに無頓着という家庭だったので、とにかく家の中がモノで溢れていました。
父は性格がお人よしすぎるので、人が要らないといったものをなんでも自宅に持ち帰ってきたりして。
狭い我が家なのに、多いときは3台ブラウン管テレビがありました。
しかもポンコツですぐ壊れるので邪魔になるので目も当てられない。
母もなかなか捨てられない人だったので、子どもたち5人のモノをいつまでもいつまでも大切に残していました。
やがてモノが溢れて溢れて収拾がつかなくなり、もともと狭い家がますます狭くなる。
積み上げたモノの重みで床がへこんで落ちそうにもなりました。
いや、あと少しで実際は床が抜けていたはず。
ただ、そんな中でも、家族全員でぎゅうぎゅうおしくらまんじゅう状態、日が差さない居間で、こたつを囲みわいわい楽しく過ごしていたのは、やっぱり血を分けた両親ときょうだい。
みんなでいっしょに食事するのが好きでした。
そうして長い間、ぼろ貸家に住んでいましたが、今から約15年前にきっかけがあり、そこから急きょ退去することになりました。
その時きょうだいは全員それぞれ巣立ち、両親だけになっていました。
彼らをぼろ家から、なかば強制的にゴミを処分してもらい、救出することになったのです。
引っ越しの際は大量のゴミをトラックいっぱいに詰めてほとんど処分しました。
ゴミ捨て場まで何往復したことか。。
そしてくだんのボロ家は、私たちが退去した後、すぐに取り壊されて青空駐車場になったというわけです。
なんともあっけない最期。
それを知った瞬間、私たちにかかっていた変な魔法が解け、自分たちは知らないうちにモノに取りつかれていたのだなと感じたのです。
ぼろい家に住んでいることで、自然と生活レベルやモラルも下がり、モノをため込んでさらに負のオーラを増す、当時はまさに悪循環でした。
親きょうだいの考え方はコントロールできないのですが、少なくとも私はあのゴミ屋敷から抜け出して学んだ結果、今のミニマリズムを軸とする生き方にシフトできたのだと、自分では思っています。
そのマインドになったからには、もうかつてのようなゴミ屋敷になることは天地がひっくり返ってもないと、自分のことを信じているのです。
私の人生の転機は、やはり間違いなくあの家を離れる時だった。
現在のモノがない温かな家での暮らしをしていると、記憶のかなたに押し込んで、思い出さないようにしてしまっていた、過去の生活。
あの時があったから、今がある。
なにをおいてでも感謝すべきは、あの時いっしょに過ごした両親ときょうだい。
それだけはどんなに暮らし向きがよくなっても、忘れないようにしないといけません。
そうだ、また家族全員集合する機会をつくろう。
あの時のことを振り返って、みんなで笑おう。
おしまい≡⊂( ^-^)⊃♫
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