自分がミニマリスト的な生活をしていると、これまで以上に親の住処のことが心配になってきました。
昔から捨てられない性格の両親。モノを大事にするのは良いのですが。。
事情は違えど、実家(親の住んでいるところ)が雑然とモノにあふれているご家庭は多いと思います。
自分のものは簡単に片づけられても、なかなか親のモノはそううまくいかないもの。
そんな方へのヒントが詰まっている一冊です。
親の家をかたづける
やまぐちせいこ著『ミニマリスト、親の家を片づける』
著者のミニマリスト・主婦ブロガーやまぐちさんは、ひょんなことから田舎に住んでいる義父母と同居することになりました。
ところが、引っ越した先は田舎ならではの広大な住居2棟と倉庫3棟。どれも大量のモノにあふれたお部屋だった。。。というなんとも悲惨な状況からスタートします。
絶望したやまぐちさんは家族で協力してモノを片付けると一大決心をしました。
そこには、独身ミニマリストさんのノウハウからさらに発展した、家族共存のミニマリズムのヒントがありました。
今回の親の家の片付けで私がしたことはたったひとつ。「モノを捨てた」。これだけです。ただモノを捨てただけなのに、義父母の人生、私たち家族の人生、両方が驚くほど変わりました。
はじめに
モノを捨てて身軽になることで、家族の仲が改善することは想像に難くありません。
実践したことはいたってシンプルですが、捨てるモノは親のモノ。
その捨て方に注意があるといいます。
汚部屋の原因
片付けられなくなった親の家は、いつしか「汚部屋」と呼ばれるようになります。
やまぐちさんはそこに至る原因を以下のように考察しています。
- 親子のコミュニケーション不足
- 「モノを捨てるのは悪いこと」という価値観
- ピアプレッシャー(同調圧力)&地域性
- 収納スペースがたくさんあった
- 忙しすぎた
どれもありえそうですが、特に「モノを捨てるのは悪いこと」という価値観が、捨てる行為を阻害しているということは腑に落ちます。
「親世代」というざっくりした表現で失礼かもしれませんが、幼少期にモノがなかった今のご年配の方は、モノを大切にする傾向があります。
それ自体は悪いことではないのですが、モノが増えることにより経済的にも空間的にも圧迫され続けてしまうことを考えたら、現代では「手放さないこと」が必ずしも美徳とは言えません。
親にこそおすすめしたい、ミニマルライフ
やまぐちさんはミニマルライフをシニアにこそおすすめしています。
よく「ミニマリスト生活は独身の人だけができるもの。家族がいると無理」といわれますが、それは誤解です。私はむしろ、持たない暮らしは仕事や子育てから引退した親世代にこそおすすめのライフスタイルだと思います。
第1章
そのメリットとしては以下のとおり。
- 安全、健康に暮らせる
- 万が一の介護や病気にすぐ対応できる
- 家事が楽になる
モノが少ない部屋では、つまづくリスクも減りますし、衛生状態も良好。もし身体の具合が悪くなって移動しなくてはいけない時も身軽に動ける。そして、日常生活の家事もしやすくなる、といういいことづくめなのです。
私たち子どもとしては、雑然とした親の家を片付けたい理由があります。それは集約すると、やはり親に今より楽に生活をしてほしいという願いに行きつくのだと思います。
やまぐちさんの推奨する具体的な片付け手法のくだりも、親への気遣いや優しさにあふれています。これだったら、親ともケンカせずに作業を進められそうです。
私たちが片付けたいのは、親のためなのです。
他人のモノの捨て方あれこれ
本書は親の家の片付け、をテーマにしたものですが、この本にある具体的な片付け方は、たとえばパートナーや子どもがいるご家庭でも同じ発想に基づくと思います。
やまぐちさんの「ミニマリスト流 片付づけ5原則」は以下のとおり。
- 捨てるが先、考えるのは後
- 片づけの「終わりを具体的に決める」
- 「モノごと」ではなく「部屋ごと」に片づける
- 「ホットスポット」は触らない
- 「美しい部屋」より「わかりやすい部屋」をつくる
「ホットスポット」というのは、地雷源になるようなもの、本人が心から大切にしているもののことで、気安く触れません。
確かに、この原則にのっとって順々に片づけていけばお部屋はすっきりしそうですね。
私も何よりもまず、「捨てるが先」、この精神が大事だと思います。とりあえず捨てて、捨てたその先に一番快適な環境が見えてくるわけです。
「これは捨ててもいいよね?」なんて野暮な確認はしない、など、そのやり方はパートナーや子どもといっしょに片づけるときも同じこと。
自分以外の人のモノを触るときには、ケンカしないようにぜひ参考にしたい考え方です。
親の生活をととのえること
こうやってたいへんご苦労されたやまぐちさんのご家族の片付け。
大量のモノを捨てることによって最終的には、ぎくしゃくしていた家族の関係も見事修復され、めでたしめでたし、ということです。
ふと自分をかえりみると、まだ60代の両親は健在。私あわせて、きょうだい5人と住んでいたかつてのゴミ屋敷はなんとか脱出しましたが、両親2人、アパートで暮らしている間にやはりリバウンドしてしまっているようです。
幸いまだ2人は元気ですが、今後いつまでその状態かわかりません。ですので、できるだけ早い段階で足かせとなるようなモノは手放してもらって、人生をもっと身軽に生きてほしいと思います。
私の両親も私たちきょうだい5人を育てあげる中で貧しい生活を送った時期もあったので、いつまでもモノを大事にしてしまう傾向にあります。
本当は両親のモノを方っぱなしからあれこれ捨てたいのですが、これは一方的に子どもから強要できるものではないので、なんとか話し合いの中ですこしずつ歩み寄れたらいいなと思います。
親の生活をととのえること。
余計なお世話かもしれませんが、ミニマリスト的生活を送ることで人生の豊かさを感じるようになった私の、これからせめてもの親孝行になるかもしれません。
やまぐちさんの著書は、親に対して私と同じ気持ちを抱いている方に、きっと参考になるはずです。