夕方、外に出ると。
ひんやり、長袖でないと肌寒く感じる。
キンモクセイの香りが漂ってくる。
近所の夕飯の匂いも漂ってくる。ダシの香りにおなかがぐうと鳴る。
違う種類の虫の鳴き声が聞こえてくる。
5時ちょうど、町内の放送でスピーカーからキンコンカンコンと鳴る。
街灯が点き始め、ところどころちかちか光っている。
遠くの夕日が思っている以上に早く落ちようとするのが見える。
あぁ、いいなぁ。
立ち止まり、ぼうっと味わおうとするも、その時間はほんの一瞬。
この一瞬を毎年毎年思い出しては、「また同じように来年も感じたい」と思っている自分に気づく。
そして、空からすこし目を離したらとっぷり日が暮れて、あの瞬間はいったい何だったのか?このどきどきは何?
そんなことを考えて帰路につくも、玄関を開けて「ただいまー」「おかえりー」といつもと同じように家族が迎えてくれたら、そんなこともすっかり忘れてしまう。
それが、いつもの私の秋の夕暮れ。
おしまい≡⊂( ^-^)⊃♫