「くどひろ」さんの著書で介護の心構えを知る
介護作家でブロガーの「くどひろ」さんこと工藤広伸さんの著書『老いた親の様子に「アレ?」と思ったら』を読みました。
これが、いわゆる“典型的な介護入門書”とはまったく違い、10年以上にわたるご自身のリアルな介護体験に裏打ちされた「心構えの書」だったのです。
というのも、私の父が先日、脳梗塞で倒れてしまい、いまだ意識が戻らない状態が三週間続いています。後遺症も現実味を帯び、いよいよ介護という言葉が日常に入り込んできた今、「後悔しないための最低限の知識」を求めて手に取った一冊でした。
読後、私はふっと肩の力が抜けるような、そんな軽さを感じました。
介護に備える「ミニマリスト的発想」とは?
本書の中でとても印象的だったのが、「長年介護しても疲弊しない理由は、自分が“ミニマリスト的発想”を持っているから」という、くどひろさんの言葉です。
くどひろさんご本人は、いわゆる“モノを持たない”タイプのミニマリストではありません。けれども、日々の暮らしで介護以外のストレスを極力削っておく、という「精神的ミニマリズム」を大切にされています。
仕事、育児、住まい、人間関係など、普段から心と体の負担を減らしておくことで、いざという時に備えやすくなる、と。
「両手と背中に大きな荷物を抱えたまま、さらに介護という重りを背負えますか?」というたとえに、なるほどな~と。まさに、身軽でいることが介護の備えになるのだと気づかされました。
「それ以外」のストレスを手放す準備を今から
くどひろさんは、介護が始まると、それまでの小さな悩みやストレスが一気に増幅されると語ります。普段なら我慢できたはずのことが我慢できなくなり、些細なことが限界を超える原因になる、と。
だからこそ、「介護が始まる前」に、意識的にストレスの種を減らしておくことが重要だと強調されています。
私も今、親の介護という現実がすぐそこまで来ている身として、改めて「それ以外の負荷」を見直したいと感じました。
たとえば、不要な持ち物、過剰な責任、無駄な時間、不要な人間関係。そんな“見えない重荷”を少しずつでも減らしていけば、きっとその時、心の余白が助けになるはず。
ミニマリスト的な発想は、モノだけでなく心の荷物にも有効だ――そう感じさせてくれる一冊でした。
おしまい≡⊂( ^-^)⊃♫