「自分のモノ」と「家族のモノ」
ミニマリズムや断捨離を実践する中で、家族と一緒に暮らしていると必ずぶつかる課題があります。それは、「自分のモノ」と「家族のモノ」をどのように扱うか、ということ。
私は比較的迷わず自分のモノをポイポイ捨てられるタイプですが、家族のモノに関しては一切手を触れないようにしています。それは過去の失敗から学んだ我が家の大切なルール。
ほんの数年前まで、私は今よりもっと未熟で、家族の気持ちや価値観を深く理解できていませんでした。家族の所有物を「こんなのいらないよね」と判断して勝手に整理したことが何度かあり、その結果、妻からめちゃくちゃ怒られました。
その経験を通じて痛感したのは、「自分と他人の価値観は違う」という当たり前の事実でした。同じ家族でも、それぞれが大切にしているモノや価値観は異なるもの。それには大人も子どもの関係ありません。
それを理解し、尊重しない限り、家庭内でミニマリズム・断捨離を実践することはできないことがしだいにわかってきたのです。
あえて見て見ぬフリをする
他人から見たら不要に思えるモノでも、所有者にとっては心の支えだったり、日々の生活を豊かにしてくれる大切な存在であることって、多々あります。そのことを理解してからは、家族のモノに対して「見て見ぬフリ」をするスキルが身につきてきたと感じています。
例えば、家族が持っているモノに対して、「なんでこんなものがいるの?」と思うことがあっても、それをぜったいに口に出さない。むしろ、「このモノのおかげで、あの人が気分よく過ごせているんだ」と感謝すらするようになりました。
また、妻との10年以上の生活の中で気づいたことがあります。それは、彼女が私に「それ、いるの?」と言ったことが一度もない、ということ。これ、ふと思ったのですが、すごくないですか?
これは私の所有物に対してだけでなく、趣味や活動に対しても、「それをやっていて意味があるの?」というような疑問を投げかけられたことがありません。
このことに気づいた時、私はとても感謝の気持ちでいっぱいになりました。自分が大切にしているものや取り組んでいることを、否定されることなく受け入れてもらえる環境が、どれだけ心地よいものかに改めて気づかされたからです。
一方で、私は過去に何度か妻に対して「それ、本当にいるの?」と口走ってしまったことがあります。ミニマリズムや断捨離に夢中になるあまり、デリカシーを欠いてしまったのです。
もちろん、妻は気分を害しましたし、めちゃくちゃ怒られました。それは当然のことで、彼女にとってそのモノが心の支えであったり、重要な役割を果たしていたからです。
こうした摩擦を繰り返しながらも、その都度話し合いを重ねた結果、今では他人の所有物に手を出すことはなくなりました。ようやく人としてまともな道を歩み始めた、そんな段階にいると思っています。
その時が来るまで、じっと待つこと
このルールは、子どもに対しても同様です。子どもの持ち物を勝手に捨てたり整理することはせず、必ず本人に確認することを徹底しています。大人であれ子どもであれ、所有物にはその人なりの思いや背景があります。それを尊重しなければ、断捨離や整理整頓がストレスの原因になってしまうからです。
家族と共に生活する中で断捨離を成功させるポイントは、「他人のモノには手を出さない」「持ち主の価値観を尊重する」という2つに尽きると思います。これは単なる断捨離のテクニックではなく、家族と調和を保ちながら心地よく暮らすための大切な心得としてアタマに置いておきたいものです。
最後に、自分が所有するモノを見直し整理する過程で、家族も自然と影響を受けてモノの整理に興味を持つことがあります。その時は焦らず、彼らが自分自身で気づき、動き出すのを待つことが最善だということもわかってきました。
自分がポイポイ捨てられるからといって、上から目線にならないように接すること。自分の背中を見せて、何か感じ取ってもらえる時をじっと待つこと。
断捨離はあくまで自発的な行動であるべきですから。家族それぞれのペースを大切にしながら、心地よい空間を一緒に作り上げていきたいですよね。
おしまい≡⊂( ^-^)⊃♫