亡くなる直前に残された一冊
森永卓郎さんの『やりたいことは全部やりなさい』は、ご自身の人生観を凝縮したダイジェストのような本でした。
特に、亡くなられる直前にまとめられたこともあり、言葉一つひとつが迫ってきます。
各所独自の視点が多く、人によって納得できるかどうかは分かれるかもしれませんが、そこに「なるほど、こういう考えもあるのだ」と気づかされる部分も多々があり、読み手の思考を広げてくれる内容になっていました。
「夢」ではなく「タスク」にする
特にわたしの心に残ったのは、「かなえたい未来像を夢見ているだけでは、永遠に実現しない。しかし、それをタスクとして設定すれば、現実的な行動を起こすことができる」という部分でした。
なるほど、夢は夢のままではぼんやりしてしまうけれど、それを「タスク」にすれば具体的に手を付けられる。
そう考えたら、私の頭の中にチェックボックスがぽんと浮かんできました。手を付けないままでは空欄が残り、そこにレ点を入れたくなる――それを放置していると、なんだか居心地が悪くなって、結果不思議と行動力が湧いてくるような気がします。
やりたいことを見つけるには、考える前にまずやってみること。続けられるなら続ければいいし、違うと思ったらやめて次へ進む。その繰り返しが、未来を形づくっていく。
死を目の前に迎えた著者の思いが迫ります。
孤独も、悪くない
また、後半で森永さんが語っていた「仲間や友人をつくらない」という姿勢も印象的でした。
人と個別に深く付き合うのが苦手な私自身、共感できる部分がおおいにありました。むしろそれが、誰とでもフラットにオープンな関係を築ける土台になるという考え方に救われた思いです。
孤独は決して寂しいものではなく、自分らしさを保つためのスタイルでもある。森永さんが最後に残してくれたこの人生のまとめを通じて、孤独をポジティブに受け止める視点をもらった気がします。
それにしても森永さん、67歳で逝去って、若い。若すぎますよ‥。
おしまい≡⊂( ^-^)⊃♫