【家族】子どものお泊り 夫婦ふたりの静かな夜

ある日7歳の息子くんが言い出しました。

息子くん

おれ、おじいちゃんおばぁちゃんちにお泊りする!

我が家でもとうとう出ました、子どもの「一人でお泊り」。きっとお友達の話を聞いて自分でもやってみたくなったのでしょう。

義祖父母とは近居なので、どうぞ行ってらっしゃいと承諾します。本人は、今日はおばぁちゃんと寝る!なんてうきうきして出かけて行きました。ふだんとはちがった晩御飯も食べられるし、甘やかしてもらえるし、るんるんのようです。

そして残った、私と妻。そういえば、子どもを預けて妻と二人で出かけたことはありましたが、二人とも自宅にいつつ息子くんだけがいない夜って、これまで一日もなかったっけ。そんな状況、やがて8年ぶりくらい?

まずは晩御飯にしよう。この日はたっぷりの唐揚げとナムル。

2人でわーいやったー、ゆっくり食べられる、と思いつつ、さっそく子ども一人がいないだけでがらんとしたリビングの空気が気になりだしました。

いつもだったら「ねぇねぇ聞いて聞いて」みたいに声かけてくれるのに。それか、夢中になって唐揚げを口いっぱいにほおばっているのに。

瞬間、妻と二人でめっちゃ寂しくなりました。妻の目がうるうるしているのに、つられて私もうるうる。

ふだんいっしょにいると私たちの会話を遮ったり、「おれがおれが」と前に出てきたり、「んーもうっ」と思うこともあるのですが、それでも子どもの存在がそこにないと、猛烈に寂しくなることがわかりました。

それでも、夫婦二人っきりで過ごす時間。いつもゆっくり話すこともないので、最近あったあれこれをとりとめもなくおしゃべりしました。

息子くんという完全な共通項や、趣味が似ている音楽だったり、好きな本だったり、やはりネタはいろいろあるものだなと気づきました。

夕飯・お風呂・洗濯を終えると、念願のフリータイム。

今日は寝る時間を気にせず、眠たくなったら寝るんだ。

そういって妻は読書にいそしみます。私も文庫本を一冊取り出してぱらぱらめくります。

おかげさまで噂の「地面師たち」、面白すぎて一気読みできました。

それでもまだこんな時間か…。おかしいな、夜ってこんなにゆったりとした時間があったっけ?

いつも子どもの寝る時間まで決まった流れでぱぱぱっと家事をすませ、みんなで寝室に行く、そんな毎日でした。

それがたった一人、人間がいないだけで家というものはこれほどまでに雰囲気を変えてしまうものなのかと感じました。

同じリビングにいながら、静かに本を読む妻と私。いつか子どもが手を離れて巣立った時から、私たちはこんな毎日を過ごすのだろうなぁと、ぼんやり考えてしまいます。

うーん、こんな日はなんだか眠くない。時計を見ると時刻は23:00過ぎ。妻は相変わらずもくもくと本を読んでいます。

私はというと、ヨガマットを広げて、例のコロコロで身体をぐりぐりほぐしたり、ヘッドフォンを付けてピアノを弾いてみたり。適当に取った別の本をぱらぱら眺めたり。

まずい、自由になったら、時間の使い方がわからない。

きっと考え出したらハマるやつだと感じたため、午前0時、妻に「おやすみ」と言って先に布団にもぐりこみました。

ほどなくして寝落ちした私。こうして約8年ぶりの夫婦二人の時間が終わったのでした。

そして4時間ほどの睡眠の後、早朝この文を書いています。この後、息子くんはおばぁちゃんの朝ごはんを食べてから帰ってくるそうな。

それにしても、子どもがたった一晩いないだけでこんな気持ちになるなんて。人間、親になってもなお、新しく感じる感覚があるようです。

こんな機会もこれからまた何度かあると、与えられるフリータイムを手放しで満喫できるようになるのでしょうか。

とりあえず、息子くんが帰ってきたらパパとママと順番にくっつきまくろうと思ったのでした。きっとうっとうしがられそうですが。

おしまい≡⊂( ^-^)⊃♫

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