タイトルに「80代」とありますが、そこに至らずとも一読しておくと良いと思います。ワタクシ40代の身でもたいへん参考になりました。
「80代、自宅で快適に暮らす片付け」弘瀬 美加
まるで隣で優しく語りかけてくれるような、そんな文体がなにより嬉しい。
人から「片付け、断捨離、かくあるべし」とびしっと言われるより、「今までさぞご苦労されたのですね、だからこそこれからはこうしませんか?」と寄り添ってもらえるほうが、素直になれるような気がします。
一般的な若い世代向けの断捨離本・ミニマリスト本のようなスタイリッシュさとはまたちがった、人生の終わりに向けての指南本。高齢者の方を対象としているため、取り上げられている内容も特徴的です。
特に、全5章あるうちの1章が「転倒しない、自宅で安全に暮らす」であることからも、その重要性がわかります。
- 最後まで自分でトイレに行く方法
- 部屋からトイレに行く経路にモノを置かない
- 目の症状に合わせて、照明を変える
なるほど、若いうちは気にも留めなかったことが、この先このような心配につながるのだとわかりました。
長い人生、いつまで家族と、パートナーといっしょに過ごせるのかはわかりません。もし仮に独りで生活を送ることになったら、誰にも知られず自宅で転倒してしまったら?そんな可能性は他人事ではありません。
人間誰しもやがてくる老後に備えて準備しておくことは、それが手遅れになることはあっても早すぎることはないと思います。
我が家も寝室からトイレに行くまでの動線にはモノはいっさい置かないようにしています。仮に停電になり真っ暗な状態でも必ずトイレまでたどり着けます。今まで何気なくそうしていたことが、高齢になればより重要になってくるのだと思いました。
また、目の老化に備えて家の中をチェックしておくのも大切だとのこと。歳を重ねると色の見え方にも変化があり、色によってはまぶしく感じる家具や壁材も出てくるそうな。私自身も目が悪いため、これはゆめゆめ忘れないようにしたいところです。
流行りのおしゃれで真っ白なミニマリスト部屋は、高齢者の方にとっては実際どう見えるのか?そんなことも考えさせられます。
日頃生活する中で、「もし自分が80歳だったらこれは不都合ではないかな?」の発想は大事なのかもしれません。
子から親へあれこれ言うのはうっとうしく思われるもの。私も両親に一冊こちらの本を読んでみてほしいなと思いました。
おしまい≡⊂( ^-^)⊃♫