ふだん中国語を勉強しているからか、タイトルが気になりました。
「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」
中国語読みすると、
「リュゥリュゥシュィハオリュゥ」
みたいな語感でしょうか。
なんとなく、字面だけで意味は想像できますが…、実際は?
本文中でも「毎日が良い日だっていう意味でしょ?」とお茶の初心者さんに揶揄されています。
本書はちょっと前に映画化されていたぞ、と気になり、手に取りました。
帯の紹介文のように、内容はお茶のお稽古に通う一人の女性の物語。
モチーフは著者森下さん自身、というより森下さんの青春の記録とも言えます。
まったくお茶の世界の予備知識がない状態で読んだのですが、最後までじゅうぶん楽しめました。
テンポよくさくさく進むので読みやすく、あっという間に読了。
初めはちょうど主人公「典子」と同じ目線で、お茶の世界にありがちな偏見を眺めていきます。
その世界、礼儀作法が細かいことはなんとなく想像ができますが、それが実に細かいこと!
お茶の初心者が、学んだことがなかなか覚えられないこと、さらに毎度新たに登場する茶器や覚えなくてはいけないことに、辟易する場面が多々あり、臨場感があります。
それでもしだいにお茶の世界にどっぷりはまっていく典子の姿が、ほほえましく、うらやましく思えます。
そして淡々と過ぎる四季のうつろいの中、訪れた第十三章、平成三年、六月の土曜日。
この日の本文中の描写はまさに白眉。
一文ごとに五感がびりびりと刺激され、最後にはふっと身が軽くなったような感覚を覚えました。
私にとってもこのくだりのことは、「忘れられない」ものになりました。
人間はどんな日だって楽しむことができる。そして、人間は、そのことに気づく絶好のチャンスの連続の中で生きている。あなたが今、そのことに気づいたようにね。
『日日是好日「お茶」が教えてくれた15 のしあわせ』森下典子 より
黒木華さん・樹木希林さん・多部未華子さん共演の映画も素敵。
お茶を中心とした、ゆったりとしたぜいたくな時間を味わえます。
お茶の世界、その奥深さ。そこはある意味「沼」要素が満載なのでしょう。
はまるかはまらないか、この作品で、そっと覗いてみませんか…?
さらに読みやすそうな文庫本も出ています。
おしまい≡⊂( ^-^)⊃♫
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